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労働教育は幼少期から

 令和がはじまり半月が経ちました、各案内状や官公庁の申請書などの受付用紙に、「令和」の文字を目にするようになり、本当に平成が終わったのだと実感させられます。新元号早々に本年はラグビーワールドカップ、来年は東京オリンピック・パラリンピック、2025年には大阪万博も決定しており、令和も明るい話題が目白押しです。また新札が2024年に発行されることも報道でありましたが、以前もお話したとおり1万円札の人物画は渋沢栄一氏です。

日本経済の父と呼ばれる渋沢栄一氏は江戸末期の1840年(天保11年)に農家に生まれました。皆様も渋沢栄一さんの莫大な影響と功績はご承知だと思いますが、幼少期の頃、どんな子どもだったのか気になって調べてみました。

農家に生まれ若くして大蔵省事務次官を経て、33歳から経済界に身を置き、医療・福祉・鉄道・宿泊・教育・金融等、様々な分野で名を残す方は、やはり幼少期から違っていました。実家は農業と藍の葉を加工して染料にして売って生活をしていたそうで、畑仕事以外に藍の葉の仕入れを手伝っていましたが、幼いため仕入先から相手にされなかったため、藍の葉の品質をしっかりと見極められる力を身に着けようと決意し、実際に12歳ごろには大人顔負けの効き目を持っていたそうです。それからは取引相手からも尊敬され、公平な取引が出来るようになったそうです。ロータリーでいう所の職業奉仕の精神を子どもの頃から養っていたのが大きな功績に繋がったのかも知れません。

 

 今月は「青少年奉仕月間」です。つい先日、友人(大分臨海RC片山勇君)のSNSで、小学1年生が起業した。という記事を拝見しました。その内容は、小学1年生になった息子が、1枚150円のポケモンカード(ポケットモンスターというアニメのカード)が欲しくて、月100円のお小遣いを貯めて購入すると言っていたのですが、2ヶ月でカード1枚しか買えないため悩んでいました。友達は何枚も持っているようで、羨ましそうにしていたそうです。そこで父親は、お手伝いをしてお金を稼いでは?と息子に提案します。息子は納得し、何をするか家族会議をしました。

まず条件として家族(人)のためになること。親に頼らず1人で出来ること。等を両親からアドバイスをもらい、悩んだ結果マッサージや片付けをする。と言ってきました。父はせっかくの機会だから月のお小遣い100円でお小遣い講座を開いてあげるが、どうする?と息子に聞くと、これまた悩んだ結果、講座を受講すると思い切ったそうです。お金の使い方は投資・消費・浪費と色々あるが、この100円はお小遣いをどうしたら稼げるか?のための投資だと伝え、商売の対象となる人は何が欲しいのか、何が好きか?を調査する必要性を説きます。すると息子は両親が珈琲を毎朝飲むことを知り、珈琲1杯を売って稼ぐと決めました。父のお小遣い講座では、まずは投資(借金)して珈琲豆を仕入れることから提案しますが、珈琲好きの両親は、ちゃんとした美味しいものでないと買わないよ。と良い、豆の仕入れ代2千円を父に借入れます。豆はブルーボトルの200g、1杯18gで11杯(@181円)作れるため、1杯を200円で売ることにしました。お湯やミルなどの道具は自宅にあったため、無料で貸してもらうようお願いし、珈琲豆1袋が全部売れたとしたら、200円の利益。月の利益が約800円ぐらいと計算し、実際に美味しいとお言われるような珈琲を入れるよう練習して、いよいよカフェをスタートしました。

1月目は約760円の利益。だいたい予通りとなりましたが、3ヶ月後は自宅を訪問したお客に対しても販売促進を行い、ミルクやシュガーを仕入れカフェオレやアイスコーヒーもメニューに加えたそうです。

結果、最初に借入れた2千円も返済し、利益は貯金するようになりました。当初の目的であったポケモンカードは購入せず、お金を稼ぐ事の難しさ、使う事の大切さを身を持って知ることが出来たそうです。

 

 小さい子に欲しい物を買い与える事は簡単なことですし、お金の大切さは口で言っても中々伝わらないのも現状です。この両親は面倒くさがらず、息子に向き合い、実戦形式で教育しておられます。この教育が小学校1年生にとって良いか悪いかは別として、結果的に自らが珈琲の入れ方の研究から豆などの購入など真摯に働き、相手に喜んでもらってはじめて報酬を得られることを学んだという点では、素晴らしい教育だと思います。とても私には出来ないと感銘を受けました。

ただ私も過去のインターアクトの例会で、募金や使用済切手を集めて終わりではありません。預かったものがどこへ送られ、誰のために使われているか?までがあなたたちの役割です。とお伝えし、その後の募金活動などからは真剣さや支援していただいた方々への感謝の気持ちが前面に出るようになりました。

 

先に述べた渋沢栄一氏の名言のひとつに「商売をする上で最も重要なのは、競争しながらでも道徳を守ること」と述べておられます。「悪銭身に付かず」と昔の人が言ったように、汗し苦労して得た報酬は、実際の価値より数倍も価値あるものになりますし、ますます仕事が楽しくなり、成長も出来ます。それを次世代にシッカリ伝えることも大人の大切な役割なのだと思います。